自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文・日付・指名を自筆で書き、捺印して作成します。
自筆証書遺言は、必ず自分で書かなくてはなりません。
用紙については、なんでもかまいませんが、ワープロ文字や代筆は認められません。
≪自筆証書遺言のメリット≫
・費用が掛からず手軽
・遺言内容の秘密が確保できる
・遺言そたこと自体を秘密にできる
≪自筆証書遺言のデメリット≫
・遺言者によっては遺言内容の実現が不確実
(遺言の存在が見つからなかったり、見つかっても破棄されるおそれがある)
・遺言は家庭裁判所の検認が必要
・検認を経ないで遺言すると、5万円以下の過料に処せられる
公正証書遺言は、本人が公証人役場に出向き、証人2人以上の立会いのもとで、遺言内容を話し、公証人が筆記します。
そして、公証人は、記録した文章を本人と証人に読み聞かせたり、閲覧させたりして筆記の正確さを確認し、それぞれの署名・捺印を求めます。
これを、公正証書遺言の形式に従って作成した旨を公証人が記載し、最後に公証人が封紙に日付と共に記録し、本人と証人が共に署名捺印して作成します。
なお、言葉の不自由な人や耳の不自由な人の場合、本人の意思を伝えることのできる通訳を介して遺言を作成することができます。
この他、相続人になる可能性のある人(推定相続人)、直系血族、未成年者、受遺者などは、公証人役場での証人になることはできません。
≪公正証書遺言のメリット≫
・あらかじめ公証人により無効がないことがチェックされているため、一番確実に遺言を
残すことができる。
・開封時の家庭裁判所の検認の手続きが不要
・遺産分割協議が不要
・公証人役場に原本が保管されているため、正本、謄本を紛失しても、再発行の請求がで
きる。
≪公正証書遺言のデメリット≫
・費用がかかる(公証人手数料)
・内容を公証人と2人の証人(計3人の他人)にも一時的に公開される
※もちろん、証人にも守秘義務が課せられます
秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じように公証人役場で作成するのですが、遺言書の内容を密封して、証人も内容を確認できない所が、公正証書遺言との相違点です。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を本人以外に知られることがなく、プライバシーを守ることができますが、本人の死後に家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。
※検認の必要がないのは公正証書遺言の場合だけです。
≪秘密証書遺言のメリット≫
・遺言内容の秘密を確保できる
≪秘密証書遺言のデメリット≫
・費用がかかる
・開封時、家庭裁判所の検認が必要
・検認を経ないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられる
・遺言を残したことじたいは、公証人と2人の証人(計3人の他人)に知られる
・遺言の内容によっては、専門家のチェックを経ていないので相続人間での紛争を引き起
こしてしまう可能性もある。
以上が3種類の遺言の概要となります。
この他にも、例外的には、本人の臨終間際に第三者に口述筆記してもらい。その内容を確認する証人が2人以上が、署名・捺印して作成することも可能です。
しかし、この場合、親族などが筆記したものは、歪曲のおそれがあるため、認められせん。この場合の証人も、公正証書遺言の証人資格と同様です。
これは、あくまでも緊急的な措置です。
ご本人が健康でしっかりした意識状態のうちに、時間を作って遺言を作成しておくことが望ましいのは間違いありません。遺言書作成の起案やアドバイスについて、遺言書に盛り込むために行う相続財産の調査について、ご不明な点がございまいたら、お気軽にご相談ください。